介護

介護と言うほどのもんじゃないんだけど、母が昼から夕方まで自宅に帰るというので代わりに病室で過ごす。
たいへんだった。母ならもういい加減あしらい方も心得ているのだろうけど、いきなり予備知識もなにもなしに交代したものだから、いちいち父の言うことに応対してへとへとになった。
ミニトラックをまだ挿してるものだから、何を言ってるのか判別できる確率が非常に低い。1割以下。何度も聞きなおして結局判らずじまいとかは当たり前。でも判ったとしても「家に帰るけえ靴下履かせえ」だの「正月の集まりの準備はどうなっとるんな。電話して聞いてみい」だの、どうもこうもしようがないものがほとんど。
「痰を取ってもらう」くらいしか聞いて意味があるものがない。


父:(ベッドの)柵を下げえ。
俺:下げたよ。ほいでどうする言うんね。
父:(そこへ)座らせえ。
俺:座ってどうするんね?(座らせることくらいはあるのは聞いていた)
父:(タンスを指差しながら)靴下。
俺:はあ!?靴下?靴下履くん?
俺:(探し出して)これね?でも足に点滴うちよるんじゃけえ履かりゃあせんで?見てみんさいや。
父:外せえ。
俺:冗談言うな。外せるわけないじゃろうが。
父:看護婦呼べ。
俺:呼んでどうするんね?呼んでも外さりゃあせんで?
父:ええけえ呼べ。外してくれるんじゃけえ。
俺:(ほんまかいの?と思いながらナースコール)すみません、ちょっと来てもらえますか?
(看護士来る)
看:どうされました?
俺:看護婦さん来たよ?どうしてもらうん?
父:(点滴を指差して)外す。
看:まだ外されませんよ。もうちょっとね、元気になっていただかないと。
(どうしようもないやりとり)
父:わりゃ名前は。
俺:(このクソやくざ。。。)
看:吉○言います。
(以下略)


こんな調子。しかも父の言うことはいちいち聞き取れないから何度も聞きなおす。
ボケが入ってきたのかと思ってひやひやしてたんだけど、入院が長いとこんな感じになってくるらしい。そこは別に心配しなくてもいいと医者からは言われてるそうだ。
つかもう大変だ。あれは力の抜き加減とか、適当に聞き流すさじ加減をわきまえてないと始終へとへとになる。介護疲れなんていう言葉も解るような気がした日でした。