中目黒

誘われてはいはいと返事をしておいてもいざ行くとなると3億光年の彼方に感じて億劫なのである。それはきっと渋谷というできれば関わり合いたくない場所を通らねばならないからだな。夕方くらいに通り抜けるならまだいいが、夜の渋谷は殺人的だ。終電近い電車で帰ろうものなら我を失い半狂乱になった群衆にもみくちゃにされながら井の頭線なぞに乗る羽目になる。そういえば出向で田町に通勤してたころ、出向期限がそろそろ来るってときの上司面談で「井の頭線と山手線で通勤するのはもう嫌なので帰してください」と言ったのを思い出してしまった。だから終電に間に合う時間だろうが間に合わない時間だろうが、いつも野沢通りの蛇崩あたりまで歩いてからタクシーで帰る。下馬を超えて三宿まで歩いたこともある。そういえば下馬に従甥が住んでるらしい。従甥と言っても俺と同年代。子供の頃は結構遊びに行ってたんで面識はあるんだけどもう25年は会ってない。はや四半世紀である。あっちはウチの家系とは違ってデキが良くて東大出だ。まあ今更会ってするような話も無いので、親父の葬式のときに連絡先を教えてもらった(そんな話をされて「いらない」とも言えないし)がスルーしっぱなし。そして「連絡してみた?」と聞かれるのがこれまた困る。実は今彼が勤めているらしい会社のソフトの正規ユーザでちゃんとユーザ登録もしてるんだが彼は知るまい。っていうかそれで知ってたらやばいって。まあそんなことはどうでもよくて、三宿まで来たなら梅ヶ丘まで歩けばいいじゃないと思うけど、翌日も健やかに過ごしたいと思うと、さっさと寝るためにタクシーの乗るが吉と出る。
そんな場所。中目黒。


そんな場所中目黒でふぐ食った。というか食わせていただきました。ごちそうさまでした。
しかしこう、もやもや。鍋なのに鍋っぽくないもやもや感。そんなもやもやした感じを抱いてしかたがなかった。


とりあえずお邪魔してとりあえず食っておいて、とりあえず色々振る舞われた立場でとりあえず偉そうだけど、やはり鍋は鍋らしく食いたいと思ったのであった。とりあえず。
鍋は囲んでつつくものであって、どこかあっちの鍋で煮えた物が取り皿に載って出てくるのではただの煮物である。


その点につきましては次回までの課題とお考えいただき、ご検討よろしくお願いいたします。


以上