パソコンを使えることは大きな迷惑? 山田祥平のRe:config.sys

以前からこの連載は読んでいたけど、この内容はいつか書かれるだろうなあと思ってました。いつかの記事のコメントとしてこれと同じような内容を書こうとして己の文才の無さに途中まで書き溜めたものを全削除したほどに。
まさに自分も若いころにパソコンという機械そのものを楽しめる時代があり、そして今は職場でシステム管理の一端を担っています。

 システム管理者の多くは、本当は、パソコンのように柔軟な機器を現場で使わせたくはないと思っているに違いない。できれば決められた用途以外には役にたたない専用機を用意したいと考えているはずだ。そうすれば、ウィルスの脅威に怯える必要もないし、業務上以外の操作によってやっかいなシステムトラブルが引き起こされることもない。それができないのはコストの問題が大きい。

 デジタルリテラシーなどあってもしかたがないのだ。Windows XPレジストリを熟知し、数多のユーティリティを自在に使って快適な環境を作ることは、オフィスでは罪悪以外の何者でもない。そういう意味では、仕事の現場もまた、パソコンを必要としていない。そりゃ、スキルも向上していかないはずだし、伸ばそうという気持ちも無為に終わる。

このあたりは本当に頷くことしかできません。
「開発」をやっている会社でさえそうです。と言うより、下手に知識がある人が多いだけ面倒が多いかもしれません。(よそ様の現状を知らないので比較できませんが)
自分がこういった職に就いたのは、やはりパソコンという機械(の汎用性)に可能性を感じ、面白いと思っていたからですが、現在自分がシステム管理者として職場の人間に何を指導しているかを考えると、極論すれば「君たちが使っているパソコンは汎用的な使い方をしてはいけません」ということです。
なぜ、なにがいけないのか。それを、完璧に、全員に、理解してもらうのは不可能です。コストの問題もありますが、人の入れ替わりの激しい現在では期間的にも不可能。それならば「これだけしか使ってはいけません」という指導の方が手っ取り早く効果が出る。
この考えに至ると、もはやパソコンの汎用性というのはシステム管理上は邪魔でしかない。
仕事に関係の無いWEBは見るな、システム管理者が許可していないソフトのインストールはするな、ワクチンやパッチはシステム管理者から指示があってからアップデートしろ、システム管理ツールのインストール漏れのないように、新規設置はシステム管理者立会いのもとで、etc....
こんなことを人が来るたびに指導するくらいなら、ドキュメントの確認・作成、メールのやりとり、コーディング、簡単にまとめればこれさえ出来ればこの職場で使う道具としては充分なのだから、そういった専用機にしてしまえばいい。それならば指導も最小限で済む。
パソコンであることにあまり意味が無いどころか、パソコンであるから困っている。
楽しかった頃の認識は「コンピュータとは人が楽をするためのもの」だったのに、少なくとも今の自分を見れば「余計な苦労を背負い込む原因」になってしまっている。